ラップをするときに理解しないといけないのが、「韻を踏む」という概念。「韻」ってダジャレでしょ?という声が聞こえてきそうですが、韻にこだわっているラッパーの曲をじっくり聞いてみると、そこには実に奥深い世界があります。また、韻はラップに限ったものではなく、洋楽では様々な曲で韻が踏まれていますし、日本でもミスチルの桜井和寿やサザンオールスターズの桑田佳祐など、韻にこだわりをもって作詞をしている歌手がたくさんいます。では、韻とはいったい何なのか、詳しく見ていきましょう。
「韻」と「ダジャレ」は違う
ここでは、「声に出して踏みたい韻」(細川貴英・著)の中で定義されている「韻」の解説に基づいて、説明していきます。韻に似た言葉遊びで、韻とは比べ物にならないほど世の中に普及している概念に、「ダジャレ」があります。「韻を踏む」という言葉になじみがなくても、「ダジャレ」という言葉の意味がわからない人はいないはずです。たとえば、
アルミ缶の上にあるミカン
という文章は、ダジャレになっていますね。これは、前半の「アルミ缶」と後半の「あるミカン」が、同じ「あるみかん」という5文字の言葉になっているためです。
では、韻はどうでしょうか?韻とは、「2つ以上の言葉の母音がすべて一致している」ことをいいます。これこそが、韻という言葉の意味です。たとえば、
アルミ缶の上で待つ時間
ならば、「アルミ缶」と「待つ時間」が、両方とも「あういあん」という同じ母音で構成されているので、韻を踏んでいるということができます。
じゃあ韻のほうが簡単?
上の解説だと、ダジャレは全部文字を合わせないといけない一方で、韻は母音だけで良いため、韻はダジャレより簡単なもののように思えます。しかしそんなことはありません。韻は、ダジャレよりも拘束条件がゆるい分、より長い文章で、より多くの言葉で踏む必要があります。
たとえば、以下の文章はどうでしょう?
リサイクル可なアルミ缶の上で期待するただ待つ時間
ぱっと聞いただけではわかりづらいかもしれませんが、実はこれ、12文字も母音が一致しています。「りさいくるかなあるみかん」と「きたいするただまつじかん」は両方とも母音が、「いあいううあああういあん」になっていることがわかるでしょうか?
もしくは、こんなことも可能です。
あるミカンの上で熱いパンが焼けるのを待つ時間に飲むガスピタン
今度は、4回も同じ母音で踏んでいます。「あるみかん」「あついぱん」「まつじかん」「がすぴたん」はすべて母音が「あういあん」ですね。
こんな感じで、韻はダジャレよりも、奥が深いということがお分りいただけたでしょうか?
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